原典 平家物語

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原典 平家物語

げんてん・へいけものがたり

genten・heikemonogatari


「平家物語」は、およそ八百年前、古代から中世、公家から武士に政権が移るその動乱期を描いた歴史物語であり、その社会の変革期を懸命に生きた人間の姿を壮大なスケールで描いたドラマです。
厳しい運命に翻弄されながらも愛に殉じ、雄々しく闘い、そして身を処していった源平の武者たちをはじめとする人間群像は、当時琵琶法師の語りにより物語を享受した人々にとって、それは近しい体験や戒めであり、そして救い・癒しでした。
その感動の深さや幅の広さは、その後能に始まり、狂言・浄瑠璃・歌舞伎・新劇・舞踊などの舞台芸術や、文学・音楽・美術など多岐にわたって影響を及ぼすこととなり、日本人の心に深く浸透してきました。今もなお日本人の心の中に残っているある種の美意識は、この影響と無関係ではありません。今日の急激な世の流れに不安と焦燥を抱きつつ、私たちはきっと「平家物語」に何かを感じ、そして戒められ、癒されるに違いありません。
「平家物語」は情緒の文学とも言われています。現代の人が古典「平家物語」を耳にした時、現代人の心の奥底に眠っている「日本人の美意識」を目覚めさせるか、また、経済優先の社会が生んだ効率という原則によって失われつつある情緒力を掻き立てることが出来るか、このことが原典「平家物語」制作の発露となりました。
芸能的にも世阿弥以前に立ち戻り、原典「平家物語」の語りを聴くことは、自らの想像力を喚起させ、物語の行間に潜む世界を旅するという意味で大変意義あることと信じております。また、古典芸能を観劇・鑑賞する上でより奥行きと楽しみが広がり、ひいては世界に類のないわが国の古典芸能の世界に新たな活力を吹きこむひとつのきっかけになればと、大きな期待を持っております。
この原典「平家物語」の語りを聴いて感じていただく事により、美しい日本語の響きとリズムを体感し、かつ物語の世界をより深く味わっていただけるものと確信しております。



巻第一から灌頂巻まで13巻構成 「祇園精舎」〜『女院死去』まで厳選99章段を収録。
わが国古典文学の代表傑作、「平家物語」を美しい原典(覚一本)の語りで 映像化したDVD全集(全13巻−別冊解説書付)。 実に13年の年月をかけて制作されたこのDVD全集では、歌舞伎の中村吉右衛門さん、 坂東三津五郎さん、狂言の野村万作さん、野村萬斎さん、能の粟谷明生さん、 文楽三味線の鶴澤清治さんなど、60名以上の出演者が原文を朗読したり演じたりしながら、 平家物語を伝えてくれます。 また、広瀬修子さんの解説ナレーションや平家物語絵巻や寺社の紹介なども多数収録され、 大変わかりやすくお楽しみいただけます。 さらに、DVD各巻に付いている解説書では、「国宝 平家納経」の図版をはじめとする 豊富な資料や、一流の研究者達による詳細な解説、論考などもお読みいただけます。


ドナルド・キーン先生 推薦文
「日本の文学」は世界的な視点でみて大変美しいものです。読むべきものです。楽しいものです。
わたくし自身は、アメリカのコロンビア大学で「日本文学」を教えてもうかれこれ55年になりますが、生徒たちに「日本文学」を教授するにあたりひとつの「信条」があります。それはこの55年わたくしの一番の「目的」であり「誇り」となっています。 それはすなわち「日本文学」の“知識”ではなく、自分の「日本文学」に対する“情熱”をしっかり学生たちに伝えてゆくということに他なりません。 わたくしから授業を受けた生徒たちがわたくしと同じように「日本文学」を好きになり、愛し、「日本文学」に感謝できるようにこれからも”情熱”を持って指導してゆきたいと思いますし、かつての宣教師たちのように世界に向って「日本文学の素晴らしさ」をどんどん伝道布教してゆきたいと思っています。

わたしは「歌舞伎」「浄瑠璃」「能」といった日本の伝統芸能の観劇が大好きで、その感動を反芻しようと、以前よく「ビデオ」や「CD」を探し廻ったものです。
「オペラ」など西欧のクラシック音楽のCDやハリウッド映画のビデオは簡単に手に入りましたが、日本の古典芸能の作品となると、大きな本屋やレコード店でも昔はなかなか手に入りませんでした。

今回のこのハゴロモの原典『平家物語』DVDの企画は本邦初ともいえる全巻にわたる実写化、網羅(収録)している日本の伝統芸能のジャンルの多さでも画期的といえます。とても素晴らしい作品だと思います。原典『平家物語』の朗読とともに「映像」「音」が溢れており、”わかりやすさ””面白さ”という点で、世界に向って「日本文学の素晴らしさ」を紹介する方法として一つの可能性を拡げたといえるでしょう。特に大好きな日本の伝統芸能が気軽に自宅で鑑賞できるという点では、まさにわたくしの長年の夢が叶ったという感じで大変嬉しく思います。」

コロンビア大学名誉教授
コロンビア大学 日本文学センター長 ドナルド・キーン


ドナルド・キーン Donald Keene【略歴】
ドナルド・ローレンス・キーン教授は、コロンビア大学にて学士号(1942年)、修士号(1947年)、博士号(1951年)を取得し、1978年にはケンブリッジ大学より名誉博士号を取得。1955年にコロンビア大学で教鞭を執り始め、1986年にはコロンビア大学日本文学新潮教授、1989年にはユニバーシティ・プロフェッサー(コロンビア大学における最高教授職)に任命される。現在、名誉教授ならびに新潮名誉教授。

ドナルド・キーン教授は数多くの賞を受賞しており、菊池寛賞(1962年)、勲二等旭日中勲賞(1993年)、勲三等旭日中勲賞(1975年)、国際交流基金賞 (1983年)、読売新聞文学賞(1985年)、新潮文芸振興会による日本文学大賞(1985年)、東京都知事賞(1987年)、全米批評家イヴァンサンドルフ賞 (1991年)、ラジオテレビ文化賞(1993年)、井上靖賞(1994年)、朝日賞(1998年)、文化功労者(2002年)、毎日出版文化賞(2002年)などがあ る。2008年には外国人として初めて文化勲章を受章。

また、名誉博士号を、セント・アンドリューズ大学(1990年)、ミドルベリー大学(1995年)、東北大学(1997年)、早稲田大学(1998年)、東京外国語大学(1999年)、慶応大学(2000年)からそれぞれ授与されている。キーン教授は、1986年、日本文化の研究者として初めて全米芸術アカデミーに選出され、1990年には日本学士院の名誉会員となっている。ドナルド・キーン教授は、日本文学と日本文化に関する研究書と日本の現代文学と古典文学の翻訳を含む約25冊の書籍を英語で出版している。また約30冊の日本語の書籍も出版しており、そのいつくかはもともと日本語で書かれたものであり、そのほかは英語からの翻訳版となっている 主に深い交流のあった作家は三島由紀夫、谷崎潤一郎、川端康成、吉田健一、石川淳、安部公房、大江健三郎など。 そのなかでも三島由紀夫は盟友ともいえる存在で、三島晩年の15年間の昵懇ぶりは『三島由紀夫 未発表書簡 ドナルド・キーン氏宛の97通』(中央公論新社)から窺い知れる。三島由紀夫とその作品『近代能楽集』を『FIVE MODERN NOH PLAYS』(KNOPF社)として初めて世界に紹介したのはドナルド・キーン教授である。1970年11月25日三島由紀夫自決当日、三島家自宅書斎のデスク上に残された最後の2通の手紙のうち1通は、ドナルド・キーン教授宛てであった。


「原典『平家物語』DVD【解説冊子】(編集人:古場英登) レギュラー執筆者プロフィール

岩崎 武夫(いわさき たけお)
一九二五年、東京生。一九五九年、法政大学文学部大学院終了。元千葉経済大学教授。法政大学講師、東京医科歯科大学教養部教授、千葉経済大学教授を歴任の後、二〇〇〇年、同大学定年退官。千葉経済大学名誉教授。
研究テーマは、日本の中世・近世の語り物文芸。著書に、 『さんせう太夫考』、『続さんせう太夫考』など。


大隅和雄(おおすみ かずお)
一九三二年、福岡県生。一九六四年三月 東京大学大学院博士課程単位修得退学。一九六四年四月 北海道大学文学部(助教授)。一九七七年四月 東京女子大学史学科(教授)。現在、東京女子大学名誉教授。
著書に、日本思想大系 19 『中世神道論』 、 『愚管抄を読む』 、『中世思想史への構想』 、『中世 歴史と文学のあいだ』、『日本の文化をよみなおす: 仏教・年中行事・文学の中世』など。


大津雄一(おおつ ゆういち)
Y一九五四年、神奈川県生。一九七七年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。一九八八年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程後期課程退学。博士(文学)。現在早稲田大学大学教育・総合科学学術院教授。
著書に、『北条五代記』、『新編日本古典文学全集 曾我物語』、『声の力と国語教育』(以上、共著)、『軍記と王権のイデオロギー』など。


甲木惠都子(かつき えつこ)
一九三四年、東京生。牛込加賀町で、文部官僚から自民党代議士に転じた故・甲木保氏の長女として生まれる。郡上紬の宗廣力三氏に師事。手紬糸を天然の植物で染め、手機で織るという、土の香りのする紬織からはじめ、各地の絣を研究。一九六五年、岐阜県郡上郡八幡町郡上工芸研究所入門。文化庁長官賞受賞。二〇〇七年、日本橋高島屋(東京)にて、「『平家物語』を織る」展。二〇〇八年、矢代仁にて『おくのほそ道』展。日本工芸会正会員。


小松茂美(こまつ しげみ)
一九二五年、山口県生。二〇一〇年没。一九四二年、山口県立柳井中学校卒業。鉄道省に入り、柳井駅に勤務。一九四五年、広島で被爆。「平家納経」に魅せられ、学問の道に進む。東京国立博物館美術課長を経て、現在、センチュリー文化財団理事・館長。博士(文学)。柳井市名誉市民。『平安朝伝来の白氏文集と三蹟の研究』により日本学士院賞。「『平家納経の研究』の完成を含む古筆学研究体系化の業績」により朝日賞受賞。著書に、『後撰和歌集・校本と研究』をはじめ『日本絵巻大成』(正・続・続々)(全54巻)、『古筆学大成』(全30巻)、『小松茂美著作集』(全33巻)など。


五味文彦(ごみ ふみひこ)
一九四六年、山梨県生。一九六八年、東京大学文学部国史学科卒業。一九七〇年、東京大学大学院修士課程終了。神戸大学、お茶の水女子大学、東京大学教授を経て、現在放送大学教授、東京大学名誉教授。
著書に、『吾妻鏡の方法』、『中世のことばと絵』、『藤原定家の時代』、編著に『現代語訳 吾妻鏡』(全16巻)、全集『日本の歴史』(全16巻)など。


薦田治子(こもだ はるこ)
一九五〇年、東京生。一九七三年東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。一九八一年同大学院音楽研究科博士課程後期満期退学。二〇〇三年お茶の水女子大学より学位(人文)を取得。同大学の助教授を経て、現在武蔵野音楽大学教授。専門は日本音楽史。平家(琵琶)、語り物の音楽研究、琵琶をおもな研究領域とする。編著書に『日本の語り物:口頭性・構造・意義』(共編)、『平家の音楽 - 当道の伝統』(単著)、『あなたが読む平家物語』『岩波講座日本の音楽・アジアの音楽』『日本の楽器 - 新しい楽器学へ向けて』(以上共著)などがある。


末木文美士(すえき ふみひこ)
一九四九年、山梨県甲府市生。仏教学者。専攻は仏教学、日本宗教史。一九七三年、東京大学文学部印度哲学専修課程卒業。一九七五年、同大学院人文科学研究科修士課程修了。一九七八年、同博士課程単位取得退学、一九九五年、東京大学文学部教授。現在、同大学院人文社会系研究科教授。博士(文学)。東京大学 大学院人文社会系研究科 思想文化学科 教授(研究分野:印度哲学・仏教学 、宗教学 、思想史)。
著書に、『仏教 - 言葉の思想史』、『解体する言葉と世界』、『「碧巌録」を読む』、『日本仏教思想史論考』、『鎌倉仏教形成論』、『日本仏教史』、『日蓮入門』、『明治思想家論 近代日本の思想・再考I』、『近代日本と仏教 近代日本の思想・再考II』、『仏教vs.倫理』、『日本宗教史』、『思想としての仏教入門』。編集・編著書に、『岩波仏教辞典 第二版』、『岩波哲学・思想事典』がある。


杉本圭三郎(すぎもと けいざぶろう)
一九二七年、東京生。一九五九年、法政大学大学院日本文学修士課程終了。現在法政大学名誉教授。
著書に、論文「太平記論」(『文学』1959年8月)、論文「平家物語の変貌」(『文学』1968年10月)。共著に『シンポジウム日本の文学「平家物語」』。個人全訳注の『全訳注 平家物語』(全12巻)など。


三木 紀人(みき すみと)
一九三五年、兵庫県姫路市生。一九五九年、東京大学文学部国文科卒業。一九六六年、同大学院人文科学研究科国語国文学博士課程単位取得満期退学。一九七一年、成蹊大学文学部助教授。一九七五年、お茶の水女子大学文教育学部助教授。一九八十年、同教授。二〇〇一年、同大学定年退官。現在、お茶の水女子大学名誉教授。同年、城西国際大学人文学部教授。日本研究センター所長。二〇〇二〜三年、同学部国際文化学科長。二〇〇四年、同学部長、人文科学研究科長。二〇〇六年、研究テーマは、中世日本の知識人の文学、特に随筆・説話。著書・論文に、 『方丈記・発心集』、『徒然草全訳注』、『多武峰ひじり譚』、『日本周遊古典の旅』、『鴨長明』など。


山下宏明(やました ひろあき)
一九三一年、兵庫県生。一九五八年、神戸大学文学部卒業。一九六四年、東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専攻博士課程終了。博士(文学)。名古屋大学、愛知淑徳大学教授を経て、現在名古屋大学名誉教授。
著書に、『平家物語研究序説』、『平家物語の生成』、『太平記』、『語りとしての平家物語』、『琵琶法師の「平家物語」と能』。校注に新日本古典文学大系『平家物語』(上)(下)(梶原正昭と共著)など。


原典『平家物語』DVD全13巻(特色)

 愨莪豐』から『灌頂巻』までの『平家物語』DVDが全巻セット本邦初登場。


∨槓犬漏舒賈椶鯆賈椶箸掘一語一句変えずに原文のまま収録しているので、『平家物語』に忠実で専門的な作品。原文の語りは観る者の想像力を刺激します。


B榛未壁集淑法を駆使し平家物語を甦らせています→世の中に数多くある『朗読もの』ではない。
・伝統芸能→歌舞伎・能・狂言・講談
・現代劇→群読・西洋音楽とのセッション・一人芝居


ぢ深鐶人佑福慍察戮魎能できます。そこで奏でられる『音』は心地よい響きとなり、現代に生きる私たちの情感にも強く訴えます。
・あらゆる芸能の一流演者達による、技芸を尽くした詩的で美しく洗練された原文語り。
・琵琶や三味線、笛、太鼓、鼓などの日本の伝統芸能による美しい音色。
・情感を豊かに表現するピアノや二胡、シンセサイザー。
・テーマ曲は喜多郎さんに作曲頂きました。このテーマ曲は本作品オリジナルのため、このDVDでしか聞くことができません。


ァ慂寝畔語の色』、『平家物語の美』をご堪能頂けます。
・菊川怜さんの十二単など当時の時代装束を身に着けた役者による演じ語り。
・林原美術館所蔵の平家物語絵巻の煌びやかな色づかい。
・表紙、見返し等に『国宝 平家納経』をデザインした別冊解説書。


専門書・学術書と違い、流れをつかみやすく内容を理解しやすい。
(各章段の構成)
前解説 →広瀬修子さんの現代語によるナレーション(ストーリー解説)
本編 →ありふれた朗読作品ではなく、所作・邦楽・現代音楽を交えた演技語り
全てがスタジオ撮りの全編オリジナル作品→このDVDでしか観る事ができない
創作歌舞伎(坂東三津五郎)
創作能(粟谷明生)
創作狂言(茂山七五三)
後解説 →広瀬修子さんの現代語によるナレーション(簡単な纏め+次章段への繋ぎ)


С憧末の原文スライドショーにて原文をお楽しみ頂けます。


┥楮戮焚鮴盧子が各巻付。
・林原美術館、厳島神社等、平家ゆかりの地のご協力を得、貴重な写真資料を掲載。
・テキストの口語訳の解説書ではなく、日本で屈指の研究者の書き下ろし論説も掲載。

原典 平家物語

原典『平家物語』DVD 収録 各「章段」みどころ

巻第一
祇園精舎:「祇園精舎の鐘の声・・・」平家物語の始まりであり主題ともいえる章段を、中村吉右衛門さんの朗々たる語りと三橋貴風の尺八が心を揺さぶります。
殿上闇討:野村萬斎さんによる"演じ語り"の真骨頂。衣冠束帯といった当時の装束、寝殿造といった当時の建築様式がお楽しみいただけます。
禿髪:声優の島本須美さんが凛とした美しい朗読を披露しています。禿髪の再現映像もみどころです。
吾身栄花:宝塚歌劇団娘役のトップスターとして活躍の上原まりさんの筑前琵琶の語りと琵琶を堪能していただけます。
祇王:大河ドラマの語り他で有名な平野啓子さん。長文の完璧な暗誦と、祇王に感情移入した迫真の演技をお楽しみいただけます。
殿下乗合:「無名塾」の平井真軌さんの迫力の語りをお楽しみいただけます。
鹿谷:上方歌舞伎を代表する歌舞伎役者 片岡秀太郎さん。坂東三津五郎丈、市川段四郎丈といった、超豪華出演陣。澤村藤十郎丈演出の【俊寛話 第一話】です。


巻第二
西光被斬:四代目市川段四郎が演じる怪僧 西光。市川段四郎さん(西光)と麿赤兒さん(平清盛)の丁々発止の演技の激突がみどころです。澤村藤十郎丈演出作品。
小教訓:元・劇団「民藝」の名優 岡橋和彦さん。能舞台を彷彿とさせる美術(舞台)に岡橋和彦さんの至芸が光る作品です。
大納言死去:下條アトムさんの穏やかで、ソフトな語り口が、"豊饒なる古典世界"へとわれわれをいざなってくれます。
徳大寺厳島詣:新劇界の富沢亜古さんが、『平家物語』ゆかりの地で"世界遺産"の厳島神社を背景に語ります。
卒都婆流:現在の鬼界が島(硫黄島)の荒野、厳しい自然の映像と、実際に卒都婆が流れ着いたといわれる場所の実景も収録してあります。


巻第三
赦文:本格復帰が待たれる二代目澤村藤十郎丈。杵屋勝国といった当代一流のお囃子・演奏陣がしっかり"脇を固め"ております。
足摺:坂東三津五郎丈の渾身の演技が素晴らしい作品。「歌舞伎」の様式美を堪能できます。この作品は"本DVDのためだけに創作されたオリジナル歌舞伎"です。澤村藤十郎演出【俊寛話 第二話】。
御産:東京大学卒業知性派女優の菊川怜さん。菊川怜さんの「十二単」姿が楽しめます。演出は東北新社の有名監督 内池望博さん。
有王:十代目坂東三津五郎の長男、坂東巳之助さんが有王役を好演。現在の鬼界が島(硫黄島)の海原、厳しい自然の映像が俊寛の"逆境""悲愴感"を煽ります。澤村藤十郎演出【俊寛話 第三話】。
僧都死去:「能」でも「歌舞伎」でも描かれなかった"俊寛の最期"が物悲しく、悲愴感をもって描かれております。坂東流家元、坂東三津五郎の本DVDのためだけに創作したオリジナル日本舞踊も堪能できます。澤村藤十郎演出【俊寛話 第四話】。
飈:平重盛に感情移入した榎木孝明さんの口跡の素晴らしさが堪能できます。原典『平家物語』DVDの最も基本的な【演じ語り】のスタイルです。
無文:「能」でも「歌舞伎」でも描かれなかった"賢臣 平重盛"の決意が、榎木孝明さんの素晴らしい語りで悲愴感をもって描かれております。
法印問答:品格のある風間杜夫さんの語りに加え、岩佐鶴丈さんの薩摩琵琶と麿赤兒さんが"本DVDのためだけに創作したオリジナル舞踏"がお楽しみいただけます。
法皇被流:風間杜夫さんのしっかりた語りに加え、岩佐鶴丈の薩摩琵琶のあしらいと麿赤兒さんの手になるオリジナル前衛舞踏"が盛り上げます。


巻第四
源氏揃:"語り物"伝統芸能の至芸の一つといわれる講談界から唯一の挑戦です。宝井琴梅さんが"本DVDのためだけに創作したオリジナル講談"=源氏の武将たちの"名寄せ"をお楽しみいただけます。
信連:「無名塾」の平井真軌さんが勇猛果敢な武将 信連を髣髴とさせる気迫のこもった語りで登場します。
競:NHK大河ドラマ『風林火山』の武田信玄役で有名な二代目市川亀治郎さんが、演出家としてその鬼才ぶりを発揮した作品です。『平家物語』の登場人物を一人七役で演じられています。世界的二胡奏者 ジャー・バンファンの二胡の調べが以仁王横死の悲哀を盛り上げます。
橋合戦:宇治橋の"合戦シーン"の怪僧・傑僧対決を迫力を宝井琴梅さんの講談で語ります。まさに講談美学の真骨頂を味わえる作品です。
宮御最期:本DVD中三編の舞台公演の実況収録のひとつです。「説教節」の語りの世界と本DVDのためだけに創作されたオリジナル邦楽・囃子"の融合をお楽しみいただけます。


巻第五
都遷:知性派女優宮崎美子さんの爽やかで落ち着いた語りをお楽しみいただけます。
月見:粟谷明生(「粟谷能の会」)さんが、本DVDのためだけに創作したオリジナル邦楽、謡曲(観世「能」)の世界と、原典『平家物語』の融合をお楽しみいただけます。
物怪之沙汰:情感のこもった"劇的"な木場勝己さんの語りと、藤舎名生さんの至芸が紡ぎ合った日本美の世界をご堪能できます。平清盛の周囲で起こる怪異現象や魑魅魍魎の跋扈を見事に映像化しています。
早馬:平家から源氏へ…頼朝挙兵の知らせが福原へ伝えられた"時代の展開点"を、岡本健一さんがスピード感たっぷりに語っています。
文覚荒行:熊野の那智で荒行を行い不動明王の加護を得、鋭い効験をあらわす修験者・傑僧文覚を、藤岡弘、さんが体当たりで表現しています。
福原院宣:撮影後、文覚の配役には藤岡弘、さん以外は考えられない、と思えたほどの渾身の感情移入・演技をお楽しみいただけます。文覚と源頼朝の丁々発止の駆け引きと藤岡弘、さんによる二人の個性の見事な"演じわけ"が見事です。
富士川:下條アトムさんの語り口、"豊饒なる古典世界"へとわれわれをいざなってくれます。ただし下條アトムさんのご出演映像はございません。「富士川」の実景映像付きです。
奈良炎上:「東大寺」「興福寺」炎上という仏教史上まれに見る"法難""阿鼻叫喚地獄"の模様を、毬谷友子さんの"透徹した"鬼気迫る迫力の語りで味わえます。「東大寺」「興福寺」炎上をCGで再現しています。


巻第六
新院崩御:建礼門院に完全に感情移入した麻実れいさんの迫力・貫禄の語り。建礼門院ゆかりの京都「長楽寺」にて実際に撮影しています。
小督:島本須美さんの凛とした美しい朗読がお楽しみいただけます。生田流筝と若手能管奏者の競演です。京都・嵯峨野の竹林・実景の映像付きです。
廻文:挙兵を志し信濃・上野の武士に回状を出した木曾義仲を中西和久さんが好演しています。本DVD中三編の舞台公演の実況収録のひとつです。「説教節」の語りの世界と本DVDのためだけに創作されたオリジナル邦楽・囃子"をお楽しみいただけます。
入道死去:麿赤兒さんが平清盛の最期を渾身の演技で熱演。身体性を生かした「大駱駝艦」の現代的なパフォーマンスと幻想的な映像を楽しめます。
横田河原合戦:南都北嶺・熊野・吉野の僧をはじめ世上はますます平家から源氏に傾いていく・・・といった"時代の空気"を山田純大さんがしっかりした力強い語りで読みあげています。
風の記憶(1):『平家物語』の謎=何故"鐘の音"ではなく"鐘の声"なのか?を探求する、『平家物語』入門ドラマ PART 1。「第一話」平家の隆盛〜清盛の死。


巻第七
清水冠者:頼朝と義仲との間に不和が生じ、義仲は頼朝へ意趣のないことを示すため十一歳になる嫡子清水冠者義重を人質に差し出すという一挿話を、平井真軌さんが凛と語ります。
北国下向:義仲が東山・北陸両道を従えて京へ攻めてくるとの報に、平家が平維盛・通盛を大将軍とする十万余騎の義仲追討軍を北陸道へ派遣するという重厚な話を下條アトムさんが語ります。下條アトムさんのご出演映像はございません。
竹生島詣:平経正が遠征の途中琵琶湖の竹生島に参詣し、神前で琵琶の秘曲を弾じると明神が白竜と化して経正の袖に現じた、という奇譚を菊川怜が淡々と語ります。琵琶湖・竹生島実景の映像付きです。
倶梨伽羅落:平家の大軍を倶利伽羅谷に追い落としてしまうという木曾義仲の奇襲作戦の模様をダイナミックに臨場感たっぷりに、山寺宏一さんがコンダクターとなりながら【群読】で盛り上げます。谷底へ落下してゆく平家の大群のCG映像がございます。
篠原合戦:今井四郎兼平、樋口次郎兼光らの活躍した篠原合戦で平家方は惨敗、平家はさらに敗走する、といった挿話を津嘉山正種さんの重厚な語りが引き立てます。
実盛:敗走する平家軍の中にあって老武将 斎藤実盛は敵中にとどまり、最後まで名乗らずに義仲軍に討たれる、という『平家物語』の美学の一つの"核心"ともいえる【名こそ惜しけれ】の名章段。鎌倉武士道の矜持を津嘉山正種の重厚で凛とした語りが引き立てます。
主上都落:京都に迫り来る源氏に対し平宗盛が法皇・天皇を伴って西国落ちを決意するが平家の動きにいち早く気づいた法皇が鞍馬へ逃れやむを得ず平家は三種の神器と天皇を奉じて都を立つ、といった緊迫した挿話を、広瀬彩さんの語りに坂田美子さんのオリジナル曲(薩摩琵琶)で構成しています。
維盛都落:"恩愛の武将"平維盛の究極の愛別離苦の挿話を、情感こもる近藤正臣さんの力強い語りが盛り上げます。ギリシャ神殿様の、内田欣也さんの舞台美術が圧巻です。
忠度都落:都落ちの途中から引き返し歌道の師 藤原俊成邸を訪れて自分の歌を納めた巻物を託し将来の勅撰集への入集を希望した薩摩守忠度の挿話を、下條アトムさんが語ります。ただし、下條アトムさんのご出演映像はございません。
経正都落:"中棹 三味線"の至芸といわれる新内界から、唯一の挑戦。新内仲三郎さんが"本DVDのためだけに創作したオリジナル曲"をご堪能いただけます。
福原落:福原へ着いた平家一門が、平宗盛を中心にどこまでも運命を共にすることを誓い、一行は西国へ向けて船に乗った、といった【平家都落ちのクライマックス】の挿話を、広瀬彩さんの語りを坂田美子さんの薩摩琵琶が盛り上げます。


巻第八
名虎:横浜ボートシアターさん総勢5人の個性豊かな俳優陣による、ダイナミックな朗読劇です。"ライブ感覚"溢れる映像です。
緒環:
"太棹 三味線"の至芸といわれる義太夫界から、唯一の挑戦です。鶴澤清治さんが"本DVDのためだけに創作したオリジナル曲"の切れ味がご堪能いただけます。
大宰府落:藤舎名生さんの名人芸に、島本須美さんの凛とした美しい朗読が映えています。
征夷将軍院宣:征夷将軍の院宣の受け取る際の、源頼朝の政治的思惑が詳細に描かれています。山田純大さんならではのドスの効いた、棟梁 頼朝の演技が光る作品です。
猫間:狂言界からの挑戦です。茂山七五三さんが"本DVDのためだけに創作したオリジナル狂言"の滑稽味・諧謔味をお楽しみいただけます。
鼓判官:後白河法皇の法住寺殿を襲撃するという木曾義仲の暴挙・擾乱を、横浜ボートシアターさん総勢5人の個性豊かな俳優陣によって描かれています。
法住寺合戦:情感のこもった"劇的"な木場勝己さんの語りと、坂田美子さんの薩摩琵琶が紡ぎ合う演出をお楽しみいただけます。


巻第九
生ずきの沙汰:一人芝居の奇才 イッセー尾形。イッセー尾形さん扮する琵琶法師と群読の組み合わせでお楽しみいただけます。背景の美術(絵画)もイッセー尾形自筆である。
宇治川先陣:頼朝軍が宇治から京都に侵攻、宇治では佐々木高綱と梶原景季が名馬を駆使して先陣を争い佐々木が先陣を果たす、という『平家物語』の名章段をイッセー尾形さん自らが掻き均す琵琶と、勇壮な群読でご堪能できます。
河原合戦:義経軍に宇治川で突破され木曾義仲は少数の軍勢で数万の東国軍と戦うが今井兼平を勢田へ遣わしたことを後悔し、今井の行方を探そうと鴨川を渡り勢田へ落ちてゆく、といった【木曾義仲 凋落】の緊迫した挿話を、情感のこもった"劇的"な木場勝己さんの語りが盛り上げます。
木曾最期:木曾義仲と今井兼平の壮絶な最期を扱った、原典『平家物語』DVD中、最高傑作の呼び声高い"名章段"を野村万作さんの彫心鏤骨の語りでお楽しみいただけます。
三草勢揃: 範頼・義経の大軍は平家追討のため西国へ発向する、といった挿話を、木場勝己さんの"スピード感"と"高揚感"のある【名寄せ】読みでご堪能できます。
二度之懸:大手の範頼軍が生田で戦闘を開始した際の梶原景時の挿話を、國府田達也さんが渾身の力を込めて熱演しています。
坂落:上方狂言で人気が高い茂山逸平さんが、源義経の最高の武勇伝にして『平家物語』の名章段でもある「坂落」を熱演しています。背景音楽のパーカッションと、「石笛」が独特の世界観を醸し出しております。
忠度最期:文武両道の大将軍・薩摩守忠度が討たれた名章段を、下條アトムさんの穏やかでソフトな語りと深町純さんの天才的な即興ピアノ演奏の競演をお楽しみいただけます。ただし、下條アトムさんのご出演映像はございません。
重衡生捕:本三位中将重衡の凛々しい姿を彷彿とさせる片岡愛之助さんの本格的な大鎧姿をお楽しみいただけます。演出は、片岡愛之助の父 片岡秀太郎さんです。
敦盛最期:岡橋和彦さんの『平家物語』語りの十八番です。原典『平家物語』DVDの最も基本的な【演じ語り】のスタイルがこの語りです。熊谷直実に呼び止められ、振り返る敦盛を再現した実写映像も挿入されています。
知章最期:生田の森の大将軍・新中納言知盛の子息、知章が自分の身代わりとして討たれるという極限の愛別離苦に遭遇するという場面を野村万作さんが語ります。"薩摩琵琶の名手"坂田美子さんによる迫力の唄語りが聴きどころです。
落足:一の谷で戦死した平家方の軍勢は二千余人、そのうち一門の公達は十人をもかぞえた、という平家の「一の谷」での惨憺たる敗北を「一の谷」ゆかりの須磨琴(一弦琴)を背景に朗読しています。広瀬彩さんも須磨琴奏者もご出演映像はございません。
小宰相身投:一の谷合戦で討たれた越前三位通盛の北の方、小宰相の入水。いまや"「平家物語」がライフワーク"と言い切る若村麻由美さんの、完全に小宰相に感情移入した渾身の演技と絶唱。朝倉摂の舞台美術が秀逸です。


巻第十
首渡: 一の谷で平家は惨憺たる敗北を喫する。範頼と義経は公卿たちの反対を押し切り、首の大路渡しを強行したという一の谷の合戦の後日譚を渡辺梓さんが情感を込めて語ります。
内裏女房:生捕りにされた、南都焼き討ちの張本人重衡は六条大路を渡され後日斬られます。その殺伐とした合戦の挿話と対蹠的な"メロドラマ"を豊富なイメージ・シーンと広瀬彩さんの朗読が盛り上げます。
海道下:"細棹 三味線"の至芸といわれる長唄界からの挑戦。四世今藤長十郎さんが"本DVDのためだけに創作したオリジナル曲"をご堪能いただけます。
千手前:捕らえられながらも毅然とした態度で頼朝や源氏将軍を感動させた平重衡。頼朝から遣わされた千手と重衡の情の交感を、雅やかな日本舞踊で表現しています。所作指導は、尾上菊紫郎。本DVD中三編の舞台公演の実況収録のひとつ。劇場中継的ライブ感を楽しめます。
横笛:恩愛の妄念にさすらう維盛に対蹠的に描かれた、滝口入道の過去の悲恋・出家譚を、声優かいの島本須美さんが凛とした美しい朗読で語ります。
維盛出家:剃髪後も妻子への愛執に迷う維盛の心情を、近藤正臣さんの透徹した語りで抉り出します。
維盛入水:恩愛がそのまま妄執である不幸、極限状態に置かれた人間の内面をも洞察するような、朗々とした近藤正臣さんの語りがまさにレクイエムさながら響き渡ります。


巻第十一
逆櫓:源義経と梶原景時の逆櫓に関する因縁の諍いを、茂山宗彦(源義経)と茂山逸平(梶原景時)が競演・熱演。背景音楽のパーカッションと、「石笛」が独特の世界観を醸し出しております。
嗣信最期:屋島における源義経率いる源氏軍と能登守教経率いる平家軍の死闘を、ダイナミックに臨場感たっぷりに、山寺宏一さんが盛り上げます。
那須与一:屋島における源義経率いる源氏軍と能登守教経率いる平家軍の死闘の中、まさに"華やかな平安絵巻"のように挿入された名章段です。市村正親さん(那須与一)の大鎧と装束は、原文に非常に忠実なものを着用しています。
弓流:平家方 悪七兵衛景清と源氏方のみをの屋(三保谷)の十郎との死闘、【錣引き(しころびき)】として知られた有名な悪七兵衛景清の活躍が大写しになる奮戦を、口跡の美しい市村正親が情感を込めて語ります。
鶏合 檀浦合戦:源氏、平家の最終決戦、源氏・三千余艘、平家・千余艘の激突・死闘、源平の矢合わせに先立ち、義経と梶原は先陣を争い二人の確執は深まる、といった"源平合戦のクライマックス・シーン"を岡本健一さんの迫力の語りが盛り上げます。所作指導は、本DVD「千手前」も手掛けた尾上菊紫郎。
遠矢:源平互いに譲らぬ戦闘の最中源氏・平家とも武将が遠矢の応酬、神慮の奇瑞があらわれ阿波民部重能が源氏に寝返るなど平家側はいよいよ不利になる、といった絶体絶命の平家の状況を岡本健一の迫力の語りが盛り上げます。
先帝身投:清盛の妻二位尼のことば「浪のしたにも都のさぶらうぞ」を収録する名章段です。二位尼は安徳天皇を抱き、神璽・宝剣とともに入水する、といった源平合戦最大の悲劇を島田正吾さんが語ります。
能登殿最期:建礼門院も入水、平家の武将らも次々と身を投げた、平教経は船上に義経を追いつめるも八艘飛びで身をかわされ源氏の兵二人を道連れに海中に飛び込む、といった、平家最強の猛将平教経の壮絶なる最期を野村萬斎が迫力の語りで熱演しています。
内侍所都入:『平家物語』合戦シーンの名台詞中の名台詞「見るべき程の事は見つ。いまは自害せん」と言い残し知盛が入水する挿話を宮崎美子さんの美しい語りでお楽しみいただけます。
文之沙汰:平時忠の娘を妻にし、都での義経の評判を聞いた頼朝は猜疑心を強める、といった源義経凋落の一つの要因になる挿話を緒川たまきさんが、完全なる暗誦で情感を込めて語ります。
副将被斬:宗盛と次男の副将との"愛別離苦"、副将斬殺による極限の別れを、緒川たまきが、完全なる暗誦で情感を込めて語ります。
腰越:宗盛父子を連れ義経は鎌倉に向かうが、梶原景時の讒言を容れた頼朝は、宗盛親子の身柄を受け取ると義経を鎌倉に入れずに腰越へ追い返すといった、無念の義経像を、茂山正邦さんと茂山茂さんが演じ語ります。
大臣殿被斬:宗盛は頼朝と対面するが、護送の途中近江の篠原宿で斬られ、「右衛門督もすでにか」とつぶやきます。卑屈で優柔不断で死ぬ間際まで妄念を捨てられなかった波乱万丈の宗盛の生涯を緒川たまきさんが情感を込めて語ります。
重衡被斬:これから斬殺される平重衡と北の方大納言佐との束の間の逢瀬と涙の別れの場面が、片岡愛之助さんと若村麻由美さんの情感のこもった語りによって切々と語られています。


巻第十二
土佐房被斬:頼朝の刺客として上洛した土佐房正俊は義経暗殺をはかりますがこれを察知した義経らの返り討ちにあい斬首された、という挿話を島根県立三刀屋高等学校 演劇部の皆さんが"群読"でドラマチックに語ります。
判官都落:"細棹 三味線"の至芸といわれる長唄界からの挑戦です。今藤政太郎が"本DVDのためだけに創作したオリジナル曲"と女流唄方の第一人者、今藤文子の長唄がお楽しみいただけます。収録のこの創作オリジナル曲の中には『舟弁慶』『勧進帳』の名フレーズが鏤められております。
六代:北条時政は勧賞をかけて平家子孫狩りを行い、隠れていた維盛の子六代も捕らえられ助命される挿話を、金田明夫の力強い語りと上原まりの筑前琵琶の琵琶を堪能できます。
六代被斬:文覚という庇護を失った六代は斬られ、茲に「平家一門」は滅亡します。「それよりしてこそ、平家の子孫はながくたえにけれ」、平家断絶…..。"世の無常"の虚空を切り裂くような毬谷友子の絶唱と鬼気迫る迫力の語りで味わえます。
風の記憶(2):『平家物語』の謎=何故"鐘の音"ではなく"鐘の声"なのか?を探求する、『平家物語』入門ドラマ PART 2。「第二話」清盛の死〜平家の滅亡。


灌頂巻
女院出家:仏道に入ってもなお平家一門や先帝、二位の尼の最後の姿が忘れられず、悲嘆に暮れる建礼門院に完全に感情移入した麻実れいさんの迫力・貫禄の語りをお楽しみいただけます。建礼門院ゆかりの京都「長楽寺」にて実際に撮影しています。
大原御幸:"後白河法皇は大原へ御幸し、墨染姿の建礼門院と対面。苦悩を吐露する建礼門院の極限の挿話を、島田正吾さんが心地よい熟練の口跡で切々と語ります。
六道之沙汰:宮廷での栄華から一門の滅亡に至るまでの自分の生涯を回想し、その体験を天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄の六道輪廻にたとえて語る建礼門院の極限の悲しみを?木美智子さんが情感を込めて語ります。
女院死去:"平家のなかで唯一往生を遂げることのできた建礼門院にまつわる仏教(浄土宗)的余韻を残す『平家物語』の終結部分を、島田正吾さんが心地よい熟練の口跡で切々と語ります。
風の記憶(3):『平家物語』の謎=何故"鐘の音"ではなく"鐘の声"なのか?を探求する、『平家物語』入門ドラマ PART 3。「第三話」平家の滅亡〜建礼門院。


原典「平家物語」とは

平家物語とは?

平家物語とは?『平家物語』(へいけものがたり)は、鎌倉時代に成立したと思われる、平家の栄華と没落を描いた軍記物語である。保元の乱・平治の乱勝利後の平家と敗れた源家の対照、源平の戦いから平家の滅亡を追ううちに、没落しはじめた平安貴族たちと新たに台頭した武士たちの織りなす人間模様を見事に描き出している。和漢混淆文で書かれた代表的作品であり、平易で流麗な名文として知られ、「祇園精舎の鐘の声……」の有名な書き出しをはじめとして、広く人口に膾炙している。


成り立ち

成り立ち平家物語という題名は後年の呼称であり、当初は『保元物語』や『平治物語』と同様に、合戦が本格化した治承(元号)年間より『治承物語(じしょうものがたり)』と呼ばれていたと推測されているが、確証はない。正確な成立時期は分かっていないものの、仁治元年(1240年)に藤原定家によって書写された『兵範記』(平信範の日記)の紙背文書に「治承物語六巻号平家候間、書写候也」とあるため、それ以前に成立したと考えられている。しかし、「治承物語」が現存の平家物語にあたるかという問題も残り、確実ということはできない。少なくとも延慶本の本奥書、延慶2年(1309年)以前には成立していたものと思われる。ただし、現存の延慶本が、そのまま奥書の時代の形をとどめているとは言えないというのが一般的見解である。


作者

作者作者については古来多くの説がある。最古のものは吉田兼好の『徒然草』で、信濃前司行長(しなののぜんじ ゆきなが)なる人物が平家物語の作者であり、生仏(しょうぶつ)という盲目の音楽家に教えて語らせたと記されている。その他にも、生仏が東国出身であったので、武士のことや戦の話は生仏自身が直接武士に尋ねて記録したことや、更には生仏と後世の琵琶法師との関連まで述べているなど、その記述は実に詳細である。この信濃前司行長なる人物は、九条兼実に仕えていた家司で中山(藤原氏)中納言顕時の孫である下野守藤原行長ではないかと推定されている。また、『尊卑分脈』や『醍醐雑抄』『平家物語補闕剣巻』では、やはり顕時の孫にあたる葉室時長(はむろときなが、藤原氏)が作者であるとされている。その他に、親鸞の高弟で法然門下の西仏という僧とする説がある。この西仏は、大谷本願寺や康楽寺(長野県篠ノ井塩崎)の縁起によると、信濃国の名族滋野氏の流れを汲む海野小太郎幸親の息子で幸長(または通広)とされており、京の院御所で勧学院文章博士となった後に出家、その後紆余曲折を経て大夫坊覚明の名で木曽義仲の軍師として、この平家物語にも登場する人物である。


平家納経

国宝「平家納経」は、『法華経』一部(八巻・二十八品。「品」は「章」の義)に『無量義経』(開経・一巻)と『観普賢経』(結経・一巻)、『阿弥陀経』(平清盛署名・一巻)および「紺紙金泥般若心経」(平清盛書写・一巻)に平清盛の「願文」(供養の由来を述べた文書・一巻)を添えて一具全三十三巻を、金銀の雲龍文様の金具を飾った黒地銅製経箱に納めて厳島神社(広島県佐伯郡宮島町)に奉納したものである。 「願文」によれば、1164(長寛二)年9月、権中納言・従二位平清盛(47歳)が安芸国伊都岐島社(厳島神社)に、一門の男性たちが結縁(仏に縁を結ぶ)供養して奉納した次第を明らかにする。なぜに神に仏の教えを説く教典を奉納したのだろうか。

もともと、わが国固有の神と仏教の仏菩薩とを同一視して、両者を同じところに祀って信仰する風習は、奈良時代(8世紀)に始まる。神仏混淆(神仏習合とも)の思想である。よって、神社の境内やその近くに付属する寺を建立して、神宮寺と呼んだ。やがて平安初期(9世紀)になると本地垂迹説がおこる。神は仏が世の人を救うために姿を変えて、この地に現れたもので、神仏は同体であるという。平安末期(12世紀)から鎌倉時代(13世紀)にかけては、すべての神社の本地仏が定められ、その思想は盛んとなった。1868(明治元)年10月に「神仏判然令」などを発布、その混淆が禁止されるまで、世紀を越えて永く神も仏も同じであるという観念であった。厳島神社の本地仏は大日如来とも、また観世菩薩ともいわれてきた。

したがって、この「平家納経」が厳島神社に奉納されることは何らの不思議もないごく自然の信仰であった。桓武天皇(69歳)の勅命で仏法の修学のために渡唐した最澄(38歳)は、在唐8か月の後、帰国した。王城(京都)の艮(東北)に位置する比叡山延暦寺に日本天台宗を開き、『法華経』を根本経典とした。たちまちにして、宮廷や貴族社会に法華経信仰が広まった。この「平家納経」が『法華経』を中心とする意義も、おのずから明らかである。

清盛の「願文」には、一門繁栄を謝し、この上は「来世の妙果」(死後における仏の果報)を祈って、清盛はじめ長男重盛(27歳)・異母弟頼盛(34歳)ら一族に郎等平盛国(52歳)らが加わって、「卅二人、各一品一巻を分ち、善を尽くし美を尽くさしむる所なり」(各自が一巻ずつ分担して、美のかぎりを尽くして経巻を装飾した)と記している。もともと、仏教信仰の功徳の最上は写経とされていた。この写経というものは、亡者の追善(死後の成仏)のためと、当人の逆修(生きているうちに、あらかじめ死後の成仏を祈る)という2つの善根のために行った。この「平家納経」は、後者の逆修供養であった。小松茂美


音楽担当他

◆テーマ曲
喜多郎

◆音楽出演者(五十音順)
楽琵琶、薩摩琵琶:岩佐鶴丈
大鼓:大倉正之助
筝曲・胡弓:川瀬白秋
長唄三味線:杵屋勝国
笛、尺八:設楽瞬山
二胡:ジャー・パンファン
ピアノ・バイオリン:杉ちゃん&鉄平
囃子:藤舎花帆
笛:藤舎貴生
笛:藤舎推峰
筝曲:中川敏裕
笛:中川善雄
雅楽:中村仁美
パーカッション:はたけやま裕
作曲、パーカッション:馬場鶴生
作曲、シンセサイザー:比呂公一
笛:藤田六郎兵衛
尺八:三橋貴風
打楽器:望月太喜雄
石笛:横憚和也 他

◆解説ナレーション
広瀬修子
◆映像題字・冊子題字・書
閑万希子
◆美術
朝倉摂
内田欣哉
松野潤 他






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